活動報告

宮城県の漁業の現状をご報告します

支援者の皆様こんにちは
いつも温かいご支援ありがとうございます。
東京サポート本部の佐々木です。

今日は、宮城県沿岸部の漁業の現況をご報告いたします。

大雨で冠水している沿岸部

被災地はまだこのような状態です(2012年7月2日撮影)


地盤が下がったままなので、満潮時は陸地も海になります

武山さんが宮城県南(七ヶ浜)に魚の買い付けに行かれた時の写真です。(2012年7月6日撮影)

上の写真と合わせてセシウム検査をクリアできず廃棄される高級魚。「すごく良い魚なのに・・・」と漁師さんが泣いて訴えていたそうです



昨日は、約2万世帯5万人が移転できるような広い土地がないため、応急仮設住宅(プレハブ)からの高台移転が進まず、
仮設住宅暮らしが震災から5年〜10年後位まで長引くのでは
ないかというお話をしました。
地元の皆さんは町と県にも掛け合っているそうですが、最終的には国だからということで動けないらしく、移転の見通しが立たない不安な日々を過ごしているそうです。

また、地元に仕事が無いという問題も不安の種になっています。
沿岸部は今まで漁業で成り立っていた町なので、加工工場が再開して漁業が復活しないと生活が成り立ちません。

津波で工場内の機械や近くの倉庫が流されても、本体の工場が半端な破損状況で残ってしまうと罹災証明が出ないため、助成金の申請ができません。
メインの建物が残っていれば罹災扱いされませんので、事業者は再開するための資金を自分でつくらなくてはなりません。
ご存知の様に、銀行は震災前のようにお金を貸してくれなくなりましたので、建物があっても電気も機械も入れられず、仕事を再開できない工場がいくつもいくつもあるそうです。

しかし、なんとか工場を再開できた企業さんも、漁師さんも、別の問題で苦難が続いています。
放射性セシウム汚染の影響で、三陸の魚が売れないからです。

三陸の魚を高値で購入してくださっていた関西方面や、お隣の中国や韓国でも、消費が減っているそうです。
今年のアワビの水揚げは、津波で流されたため例年の1/10位だったそうです。
中国、韓国では受け入れ拒否で輸出できなくなりましたので、
今まで高値で買われていた「アワビ」(乾アワビになるそうです)などの需要が減り、地元業者は安く仕入れることができるようになりましたが、売りにくい商品となりました。

漁師さん達が漁に出る、志津川、歌津、十三浜などの数十件の支所でも毎日検体検査をしているそうです。
県漁協でも毎週1回ずつ検査をして安全ですという証明書をつけているそうですが、証明書付でも買ってくれるところが減っているとのこと。
問題のない魚は沢山ありますが、売る商品が目の前に沢山あっても、風評被害で売ることができないのがとても苦しいとおっしゃっていました。

震災直後の国と東京電力が正しい情報を提供してくれていたら、これほどの不評被害にならなくて済んだのではないか、消費者の皆様も測定情報に不信感を持つこともなかったのでは、と漁業関係の方々は悲しんでいるそうです。
正しい数値で消費者の皆様に信用していただき、美味しくて安全な魚を食べて欲しいとおっしゃっていました。

漁協も市場の流通も、信用問題にかかわるので正確な検査を行い、100%間違いない魚を販売しているそうです。
取り扱うスーパーも信用問題に関わるので、証明書付の安全な魚を販売しています。
市場に流通している魚は食べても安全なので、安心して食べて欲しいとおっしゃっていました。

安全でない魚はどうなるのかというと、すべて焼却処分になります。市場に出ることはありません。

これからの季節は「タラ」ですが、放射性セシウムの基準値を超えているため、処分されます。
仙台港から南では「ヒラメ」(※)が1400ベクレルという最高値が出たそうです。「スズキ」などの高級魚も基準値を超えたので処分されています。
※2012年11月4日現在まで「カレイ」からは検出されていません

これら焼却処分される魚は、東京電力へ賠償請求されていますが、全て支払われてはいないそうです。

漁師さん達は旬のものの漁をします。
( 漁獲量 + 焼却処分費用 )の合計金額(普通に販売するより安い金額で)を東京電力に請求し、いつ支払われるかわからないため、その請求額を漁協が立替えて漁師さんに支払っています。漁協でも何億円もの金額を立替えることは難しいので、先が見えて来ています。漁師さん達は船を出しても燃料の油が高く、人件費もかかるので、かなり苦しい状況だということです。

漁師さんと漁業関係にとって、一番恐いことは、山からの雪解け水が海に流れてくることです。

海がきれいになっても、地上から降りてくる放射性セシウムによって魚の汚染が濃縮されることが懸念されています。

養殖を再開して「ホタテ」や「ホヤ」の種付けをしたとしても、
水揚げする3年後にどうなっているのか?
数千万円の投資をして3年後に安全な水揚げになるのかが見通せない状況です。

「がんばる漁業」という国からの補助で養殖を行っているところが
ありますが、国に頼っていることろでないとリスクが大きくて無理なので、
浜の方々は養殖は見合わせて様子を見ているということでした。

11月5日、10名の方々が東京の築地から視察に来られたそうです。
実際に自分たちの目で見て、東京に報告したいということです。
全国の消費者の皆様に本当のことを知って欲しいということでした。

いつも温かいご支援ありがとうございます。

東京サポート本部 佐々木

 
宮城県漁業協同組合のホームページ
http://www.jf-miyagi.com/index.html

 
●現在募集中の支援物資情報です(Amazonジャパンに登録中)。

【北上町】
暖房器具のないお宅が4件あります。
石油ファンヒーター2台、石油ストーブ2台です。
また、これからの時期は暖房を使いますので、狭い仮設住宅の中で気管が弱い子供、
喘息気味の子供たちの世帯から、加湿器付き空気清浄機のご要望があがっています。

【大槌町】
両親が病気で入院又は通院で生活状況が悪化しているご家庭が4世帯があり、
中高生の女の子の衣類(下着、衣服、防寒具など)と食品が不足しています。
両親の介護をしながら通学しています。
町全体の復興は進んできましたが、少数の厳しいご家庭があります。

どうぞよろしくお願い致します。

宮城県石巻市北上町, 復興の様子 | 11:33 PM

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